知的財産活用実践研究所

このページでは、知的財産を実践する特許事務所、メーカーに携わる人に向けて、知的財産の活用に関する実践的なものから経営者にとって耳が痛いような辛口の話までバラエティに富んだ情報を発信します。

貴方の事務所は、ビジョンとミッションが共有できていますか?

特許事務所や会計事務所等の事業所においても、

事業のステージは、

創業期→成長期→停滞期→衰退期or第2創業期・・・

と、刻々と変化していきます。

 

第2、第3とステージを押し上げるためには、
事業内部に新鮮な血液、筋肉組織、細胞として、
新たな人財を迎え入れることが必要です。

 

それをしなければ、
事業を永続的に続けていくことはできません。

 

一方で、私は、

この人財確保と人財教育が難しくて、

採用募集を諦めている事務所が多いと感じています。

 

例えば、人財の確保により起こる事業所側のデメリットの1つとして、

ビジョンやミッションといった会社自体が掲げる目的・精神性・意識・理念の共有が希薄になることが挙げられます。

 

今回は、このビジョン・ミッションについて、少し突っ込みたいと思います。

 

事務所の創業期から一緒に働いてくれている社員と第2創業期から一緒に働くことになる社員との間では、

会長・社長・昔から働いている役員との距離が違います。

 

昔からいる社員に比べ、新しい社員は、物理的・精神的に遠い存在です。

 

当然、第2創業期から第3創業期へと移行すると、

その距離は、より遠くなるでしょう。

 

ここで危惧しなければならないことの1つとして、

第一線で活躍する現場の社員と、現場から一歩退いた社員との間の仕事への情熱や熱意に対する温度差があります。

 

創業したてのヨチヨチ歩きの企業では、

創業社長を中心とした経営体制によりビジョン・ミッションが示され、

社員は社長との日々の関わりから、知らず知らずのうちに感覚としてビジョン・ミッションが共有されます。

 

しかし、社長が現場の指揮・監督を離れることを発表してから実際に現場から離れる瞬間(準備期間経過後)、その瞬間から、

これまで通りの経営体制ではなくなります。

 

即ち、社長と現場の社員との間にクッションが入ります。

 

このクッションによって、現場の社員があらぬ方向を向かないようにするためのアンカーとしての役目を果たすものの1つが、

ビジョン・ミッションです。

 

そのため、ビジョン・ミッションが、クッションを果たす幹部・役員・マネジャーに共有されていなければ、

現場の社員はおろか、新入社員がゴールへとたどり着くことはできません。

事業からは、次第に社員が離れていくようになります。

 

そのような離脱を起こさないためにも、

経営者は、常に現場に向けて、事業にとって普遍的なDNAを注入し続けなければなりません。

 

以下に、クロネコヤマトで有名なヤマトホールディングス社長の言葉を掲載します。

 

「ヤマトの現場力を支えるDNAを次世代に伝えていくというのが、経営者としていちばん大切なことなのです(ヤマトホールディングス社長・山内雅喜・wired vol.23)」

 

山内社長は同文中において、

現場力とは、支払われる対価が必ずしも割に合わないことがあっても、会社が好きな人の集団で現場が形成されることにより、

共通の使命感を持ち、

お客様の「ありがとう」「ご苦労様」に喜びを感じられる、

と説明されています。

 

 

従って、経営者である貴方は、

直接又はマネジャー等を介して、

社員との間で事業のビジョン・ミッションを共有し、

更に、そのビジョン・ミッションに対して共感できる集団(現場)を作り上げることが、

大切なのです。

 

なお、今回の記事で言いたいこと、

それは、"ビジョン・ミッションを共有すること"

であって、

社員一人一人の価値観や経験、全てを共有させ、共感させることでは、決してありません。

 

現在の日本では、多様性が認められるようになりました。

今の時代、高度経済成長期のように、1つの目標に向かって社員全員回れ右を行うような統率力には意味がない、ということに、

社会が気付き柔軟な対応ができるようになってきました。

 

しかし、一方で気を付けて欲しいのが、

多様性といいながらも、

相手にも共有・共感を切に求めるような、歪んだ多様性が出てきています。

確かに自分の言っていることを100%理解して、共感してくれる人や環境は、心地がよいです。

 

しかしながら、共感できるか否かは、相手の課題です。

無理強いさせることは、その人の個性・価値観を潰すことになるのは、

貴方もイメージできると思います。

 

言葉は悪いですが、押し売りは嫌われます。

貴方もしつこく押し付けられることは嫌いですよね。

 

自分に自信を持って、相手の個性を認め、それを許すことが大切です(アドラー心理学のように)。

 

さて、最後は脱線しましたが、

ここで、エクササイズです。

 

貴方は、経営者ですか?それともマネジャーですか?

1.貴方が経営者でしたら、貴方が経営する事務所において、ビジョン・ミッションが共有できているか、マネジャーに対して抜きうちテストをしてみましょう。

ビジョン・ミッションに対して、希薄なマネジャーがいたら、その人に対して少し時間を割き、積極的にアプローチをしてみて下さい。

 

正直、仕事に熱心なのは良いことです。

しかし、事業が求める能力を養うには、業界全体からみて自所の立ち位置・ビジョン・ミッションがどのように他社とは異なるのかを知っておく必要があります(でないと、井の中蛙大海を知らず状態に)。

それが出来ずに、社内の人を蔑んだり、社内の人に嫉妬したり、会社の内側ばかりを評価する、そのようなマネジャーがいたら要注意です。そのようなマネジャーは、他者の足を引っ張り、蹴落とすことを常に考えているため、今の状態で、人を育てることはできません。

そのようなマネジャーには、他者の成功を願い、応援することの大切さを、辛抱強く語りかけてください。あくまでも、他社の課題にまで入り込まないことが大切です。

 

2.もし、貴方がマネジャーだったら、部下に対して、例えば、次のようなビジョン・ミッションについてのアンケート、

・そもそもビジョン・ミッションがあることを知らない

・ビジョンやミッションがあることは知っているが、内容は知らない

・ビジョンやミッションについて、説明ができる

・ビジョンやミッションが暗唱できる

を実施して下さい。

そうすれば、貴方の影響力を客観的に評価することができるようになります。例え、最初のアンケートで悪い結果が出たとしても、それは始めだけです。後は改善していくだけです。

貴方の影響力が改善され、チーム全体がビジョン・ミッションを意識し1つにまとまればチーム全体の生産性や雰囲気が改善し、貴方に対する会社の評価は向上します。

辛いのは始めだけです。

先ずは、アンケートをやってみて下さい。

 

長くなりましたが、今回は以上です。

ここまでお読みくださり、ありがとうございます!!

 

今日1日が良い日でありますように^ ^